2015年はこうなる

温故知新

 温故知新とは、儒教の四書のひとつである孔子の論語為政編に登場する言葉です。

「故きをたずねて、新しきを知れば、以って師となるべし」とあります。

 一般的には、この意味は、「古いことを研究し、新しいことも知れば、人の師となることができる」という解説されています。

 でも、ほんとうの意味は、「過去を研究すれば、未来が見える」というこだと私は考えています。そうすれば、師として人を引っ張っていけるという内容なのです。

 山田方谷は、四書の一つ大学の一節で、一般的に「生産は効率よくすべし」と解釈されている部分について、明治の初めころに、次のように解説しています。

 「生産を効率よくするために機械化をすべきである。」

 学者というものは、実際の経営にあたったことはありませんので、字面だけをとらえて、「効率よくすべし」だけで終わります。しかし、実務家としての功績の大きかった方谷は、一歩進んで機械化をすることが必要であると述べているのです。
 正に、温故知新もそうなのです。新しいことを知っているだけではいけないのです。過去を研究して、未来を見ないといけないのです。このことを理解して、もう一度過去を見直す必要があります。

2015年に大きな影響を与えるもの

 2015年の日本経済がどうなるかは、安倍政権の動きが大きな影響力を持ちます。安倍政権の進む道が、2014年7月の現在では大きな間違いを犯しています。そのため、2015年は景気の大幅な後退をし、徐々に悪化の方向にすすみます。
 その後、日本経済の崩壊につながるのですが、今指摘できる大き間違は、私は次の3つだと考えます。

1.消費税率の引上げ

 2014年4月からの消費税率8%への引上げと、2015年10月からの消費税率10%への引上げを断行すること。

2.武器輸出による信用失墜

 日本が世界に武器を供給する体制をととのえ、安倍政権は死の商人となりきることにより、特に国内での信用がなくなること。

3.閣議に権力集中

 集団的自衛権をかわきりとして憲法を無効にし、さらに日本を法治国家ではないようにすることにより、閣議が絶対的権力を有するように変貌させること。

消費税の引き上げの影響

 政府は、消費税率の引上げついて、ほとんど影響がないように発表をします。どうしても、そうせざるを得ないのです。しかし、現実には、とても大きな影響があります。
 上のグラフは、消費税率を3%から5%に引き上げた1997年前後の名目GDPの動きです。実質GDPではなく、名目GDPを見なければいけないのは、先に説明したとおりです。
 さて、このグラフを見ると、97年1月~3月期までは景気拡大しています。消費税率が引き上げられた97年4月以降は、ほぼ横ばいとなっています。これで、消費税率の引き上げは、経済に影響がないと言ってもいいのでしょうか。
 このときは、消費税率の引き上げに関し、経過措置が設けられました。96年9月末までに請負契約を締結した建築の契約については、97年4月以降の引渡であっても3%のままでよいというものです。この経過措置があるため、建築業かいを中心に活況を呈していたので、97年中は景気後退がなかったのです。
 ところが、98年に入ると、その経過措置で活況を呈していた建築業界の仕事が止まってしまいました。すると、突然10兆円もGDPが減少したのです。これは、明らかに消費税率の引き上げによる影響です。その後、99年7月~9月期に至るまで、1年9か月にわたり景気後退が続き、合計で約20兆円のGDPが減少してしまいました。
 この間、98年10月~12月期だけ一時的に回復していますが、これは、98年10月から中小企業への融資について信用保証協会の20兆円の特別保証枠が創設されたことの影響がでたものと考えられます。しかし、これもごく一時的なものでしかありませんでした。
 このGDPの動きを見ると、4月に消費税率を上げたとしても年末くらいまでは、景気後退はないということが分かります。しかし、その後は、約2年程度をかけて、消費税率を引き上げる2年前程度に戻ってしまうということが考えらるのです。
 さらに、その後になると、「大学」に書いてある通りのことが起こりました。「大学」には、「小人をして国家を為さしむれば菑害並び至る」とあります。「消費税を引き上げなければ、どうにもならない」と小人はわめいていたわけですが、その後は、世界中で天変地異を含め悪いことが次々におこり、どうにもならないような状態になってきたのです。
 その結果、2013年では約480兆円のGDPとなっています。14年1月~3月期は駆け込み需要があり、486兆円まで拡大しましたが、これは一時的な現象と考えるべきでしょう。

 それでは、今回の消費税引き上げで、14年4月以降のGDPがどのように動くのか考えてみましょう。
 前回は、97年4月に消費税率を引き上げました。そのときは、97年中の景気後退はありませんでした。98年1月~3月期に10兆円の落ち込みがあり、その後、徐々に景気が悪化することになりました。97年末のGDPは524兆円でしたが、現在は480兆円くらいとなっており、14年1月~3月期の駆け込み需要で486兆円の水準にあります。
 今回も、前回と同じく建築の請負契約について経過措置がありますので、97年と同じようになると考えれます。そうなると、14年中は1月~3月期とほぼ同じGDPで推移するものと考えられます。
 その後、15年1月~3月期に入って、一挙に景気後退をしますが、その後退の程度はわかりません。ただし、14年1月~3月期のGDPの伸びが駆け込み需要であるとすると、反動として15年1月~3月には、その程度の落ち込みはあるものと考えられます。さらに、徐々に景気後退が続くことになります。
 ところで、14年12月までに15年度の税制改正が決定されます。15年10月の消費税率を10%に引き上げるということが、好景気が続いている14年12月までに決定されます。
 消費税率10%への引上げを決定するときは、まだ景気後退が表面に出てきていません。そのため、15年10月からの消費税率10%への引上げは確実に決定されます。その後、景気後退が現実になっても、政府はその事実も、消費税率引上げとの関連を一切認めませんので、15年10月の消費税率10%への引上げは断行されます。
 15年10月も14年4月と同様、建築関係の経過措置があることはあるのですが、景気後退局面に入って駆け込み需要が発生しない状態では、経過措置を使って建築をしようという話しもほとんど出てきません。すると、15年10月になると消費税率引き上げと同時に、その効果が出てきます。このときは相当な落ち込みとなり、GDPは470兆円程度まで下落するのではないかと考えられるのです。
 14年9月8日に14年4月~6月期のGDP確定版が公表されました。それによると、ここで示したように、名目GDPはほとんど変わらず横ばいでした。ところが、数量の変化だけを表す実質GDPは、金額表記で10兆円の大幅なマイナスとなっています。97年4月~6月期の実質GDPの減少額は4兆円程度であったことからすると、今回の消費税増税は、前回にくらべて大きな影響を与えていることがわかります。
 消費税増税の影響は、名目GDPの減少となって表れますが、実質GDPの減少額が大きいということから、ここで予測した15年になってから減少するという予測よりも、14年の冬の足跡が聞えだすくらいの早い時期から名目GDPの減少、つまり大幅な景気後退が始まると考えておくべきでしょう。

 14年末から始まるか15年になってはじまるかは不明ですが、いずれにせよ、私たちは、これから2015年にかけて2段階の大きな景気後退に耐えなければならないのです。その覚悟と準備をしておくことが、ほんとうに重要なことなのです。

日本の武器輸出

 日本の景気に大きな影響を与える要因の2番目は、日本の武器輸出です。次に、その点について私の意見を述べます。

武器輸出への非難は受け入れざるをえない
 わが国の憲法前文には、「日本国民は、恒久の平和を念願し」ているとされています。さらに、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認」するとあります。

 私たちは「恒久の平和を念願し」、全世界の国民が「平和のうちに生存する権利」を有していることが謳われているのです。
 憲法のこのような趣旨に基づき、わが国は今まで武器の輸出をしてきませんでした。ところがここにきて、武器の輸出をすることになりました。「恒久の平和を念願し」ながら、世界に武器を輸出していくのです。

 これは、とんでもない矛盾だと思います。「恒久の平和を」願うのなら、世界から武器をなくす方向に進むべきなのでしょうが、武器を増やそうとしているのです。
 中国や韓国は、常に謂れのない根拠により日本を批判します。でも、この武器の輸出だけは、嘘八百の中国や韓国であったとしても、その非難を受け入れざるを得ないと感じています。

原爆の輸出を阻止せよ
 日本には、原爆はないとされています。米軍は、日本に原爆を持ち込んでいるでしょうが、一応、国内にはないことになっています。その原爆を、日本を輸出しようとしているのです。それは、トルコへの原子力発電所(原発)の技術輸出という形をとります。
 原爆ではなく、原発ではないかという非難を受けそうです。でも、そうではないのです。
 年間100万キロワットを発電できる原発では、燃料となる濃縮ウランを毎年30トン必要とします。この30トンの濃縮ウランを使って発電すると、300キログラムのプルトニウムなど精製されることになります。
 プルトニウムの再利用などが研究はされていますが、現状では、その実現はほど遠い状態です。プルトニウムの再利用をするよりは、プルトニウムを原料として原子力爆弾(原爆)を造るのが、もっとも使いやすい利用方法ということになります。
 トルコも日本と同じく地震の多い国で、そのような国でどうして原発を必要とするのでしょうか。トルコ周辺にはイスラエルなどをはじめ、核を保有する国がたくさんあります。このような環境にあって、トルコとしても原爆を持ちたいと考えるのは自然の流れだと思います。
 日本国民は「恒久の平和を念願」しているのだそうですが、そのように念願していない国なら、原爆を持ちたいというのは当然だと思います。そのような国に対し、プルトニウム製造装置である原発を輸出するのは、原爆を輸出することと何ら変わりがありません。
 さらに、100万キロワットの原発を稼働させるには、30トンの濃縮ウランが必要だと述べましたが、30トンの濃縮ウランを造るには190トンの天然ウランを必要とするのです。濃縮ウラン以外の残ったウランを劣化ウランと言いますが、この劣化ウランでも核分裂を起こすウラン原子を含んでいます。
 この劣化ウランを爆弾の先端につけると、鋼鉄の先端にくらべると、数段殺傷能力が高まるそうです。そのため、1991年の湾岸戦争から劣化ウラン弾が使われています。イラクでは、この劣化ウラン弾による被爆被害が多く発生しているのです。
 原発を輸出するということは原爆を造ることを許すことになりますし、劣化ウラン弾の製造を促すことにもなります。原発の輸出は、原爆をはじめとする武器輸出に他ならないのです。

国家の信用はどうなるのか
 「恒久の平和を念願」するといいながら、一方で武器を輸出する国というのは、ほんとうに信頼できるのでしょうか。私は、信頼に足るものではないと思います。
 こうなると、国の発表について、私たち国民は常に眉に唾をつけておく必要があることになります。諸外国は外交上の問題となるのでもともと信用などはしないでしょうが、国民が国を信用できないというのが、もっとも恐ろしいことです。

原爆輸出と景気は関係あるのか
 ここで武器や原爆の話から景気の話にもどりますが、国の景気に対する発表は、常にウソばかりです。しかも、特定秘密保護法もできましたので、何を隠しているのかは、私たち国民には分かりません。とうことは、私たち国民は国の言うことは全く信用できないということです。
 ところが、その信用できない国の発表を信じて、それに浮かれる人間もたくさん出てくるのです。特にマスコミ関係は、常に国の煽動を誇張して吹聴します。そのため、多くの国民がだまされてしまうのです。
 それを多くの国民は信じてしまうのです。これから景気は良くなるのだと、簡単に思い込むのです。現実には景気後退をしていても、中小企業には景気拡大の影響はまだ出てこないだけだと、ひたすら辛抱をするのです。このような辛抱をするだけでは、これからやってくる大不況を乗り切ることはできません。

 信用できない国の吹聴に乗った経営者が経営する企業は、どんどん倒産していくことになります。
 このようにして倒産していく企業のほとんどは、中小企業だと思われます。日本経済を支えているのは、99%を占める中小企業です。大企業が日本経済をけん引しているのでしょうが、中小企業の支えがないと、いくら優秀な日本の大企業でも存在できません。その中小企業がバタバタと倒れていくことになると、景気後退は一層ひどい状態になってしまうのです。

 このような状態にならないよう、私たちは、今何を信用すればいいのか、冷静に考えることが必要なのです。

 3番目の閣議に権力を集中することについては、集団的自衛権の項目で取り上げますので、そちらをご覧ください。

>>集団的自衛権容認は国家崩壊のはじまり へ

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